猫耳尻尾注意。
15禁くらい注意
「相棒……、えと……、ナニコレ?」
花村陽介は、手渡されたものと、真澄鵠の顔を何度か交互に見比べてみた。
しかし、何度見比べてみても、真澄の意図が理解ができない。
否、理解したくないとでも言うべきか。
「何って、見た通りのモノだろう?」
涼しげな顔で、真澄はにこりと笑う。
普段はその笑顔に騙されがちだが、花村は今回のコレは違う、と、渡されたものをぐぐぐっと握り締めた。
「いやいや、ちょっと待ってくれ。見ての通りって、コレ、猫耳と尻尾じゃねぇか! こんなもの、俺にどうしろって言うんだよ!」
「勿論、陽介がつけるんだよ」
何処で手に入れてきたのか、よくできた猫耳と尻尾を花村は手にしている。
当然、真澄から渡されたものだ。
猫耳の方はカチューシャ型になっていて、妙に精巧な造りになっている。尻尾は中に針金が入っているらしく、好きに形が整えられる上に、どうやら先端にクリップがついているので、ベルトにでもつければそれなりに尻尾らしく見えるかもしれない。
いやしかし、こんなものを装着させて、真澄は何が楽しいのだろう。
自分で装着した姿を想像して、あまりのキモさに、花村は声を上げた。
「つ、つけるって……、ねーよ!」
「なくはない。きっと似合うぞ。あ、でも陽介は猫っていうより犬だけどな」
なかなか装着してくれないことに業を煮やしたのか、真澄は花村から猫耳と尻尾を取り上げて、勝手に装着させた。
マジマジと自分の顔を見られて、耳をつけられた花村は徐々に恥ずかしくなってくる。
「ちょ……、マジでねーって」
「いや、可愛いよ」
とっとと外して、こんなもの! と、投げ捨ててしまえば良いのだが、何故かそれが出来ないのが、花村だった。
その上、真澄の手にわしゃわしゃと頭を撫でられたら、悪い気はしない。
「あのさ、可愛いって言われても、全然嬉しくねぇんだけど……」
「じゃあ、似合うよ。ほら、首輪も用意した」
「ちょ、おま……」
ちゅ、と音を立てて頬にキスをされた。
一瞬花村が怯んだ隙をつき、尻尾を取り付けられ、さらにいい笑顔で赤い首輪までつけられてしまって、どうしろと言うのか。
真澄はそれで満足したのか、自室の机の椅子に戻って座りなおした。
長い足をゆっくりと組みかえる。
ソファに座っている花村にとっては、ジッと見つめられることに居た堪れなくなり、睨み付けていた視線を外すことくらいしか出来ない。
「今日は一日、陽介、俺の飼い猫ね」
「…………は?」
耳と尻尾つけられて、ついでに首輪もつけられて、今から飼い猫ってどういう意味ですか、分かりません。
花村の眉間に深く皺が寄る。
「だから、お前はこれから猫になって、”ニャー”しか言うなって、言ってる」
「…………は? いやいやいや、ちょ、待って!」
「”にゃー”しか言うなって言ってるだろう?」
「…………にゃあ」
真澄に、じろりと睨まれて、……負けた。
こちらの言い分はまったく聞いてくれない上に、質問すらも受け付ける気はないらしい。
尤も、花村の言い分を聞いてくれないというのは、いつものことなので、今回も何か遊びを思いついたんだと、思うことにした。
結局のところ、余程嫌だと思うことがない限り、受け入れてしまうのは、何処までも真澄に自分が甘いということなのだ。しかも、真澄の要求に対して、嫌だと思うことすら、ほとんどないので、大概のことを受け入れてしまっているのが現実。
「…………」
喋るなと言われ、しかし、”にゃー”と鳴くのも何だか癪なので、花村は黙り込んでしまう。
真澄が花村自身を猫に見立てて何を目論んでいるのか、皆目見当がつかない。
とりあえず、真澄の出方をここは待つしかないのだ。
「あ、陽介は猫だけど、別に4つ足で歩く必要はないし、後は好きにしていいよ」
分かったと、意味をこめて、こくりと頷く。
真澄はもう一度手を伸ばして、花村の頭をまた一撫でする。
ぞんざいに扱われているのか、可愛がられているのか、真澄の意図は相変わらず読めない。
その後、花村に興味を失ったのか、机に向かって何故か真澄はノートと教科書を広げ勉強をはじめだした。
確かに、勉強を教えてもらうのを名目に真澄の部屋に遊びに来たのだが、花村置いてきぼりで、勉強を始めるなんて酷い。
何か、真澄を怒らせるようなことをしたのか?
と、胸に手を当てて見るが、今日の真澄はどう見ても先ほどからとても機嫌が良さそうだった。
ならば、自分も一緒に勉強したほうがいいのだろうか。とも考えたが、真澄に教えてもらわなければ、意味がない。このまま放置では手持ち無沙汰でしかたないが、ノートを広げる気にはなれなかった為、ソファに置いてあった雑誌を手に取った。
真澄は結構な読書家で、いつも新しい雑誌が部屋にある。そういう意味では、いい時間潰しにはなるが、数ページ目を通して、花村は集中できないことに気がつく。
頭につけているカチューシャの耳が気になるのだ。
そしてせっかく遊びに来たというのに、自分を放置している真澄のことも気になって仕方がない。
チラチラと花村は、真澄を見る。が、完全に勉強に没頭しているのかフリをしているだけなのかは、流石に分からないが、花村の視線に気付くつもりはまったくないようだ。
「……ま……」
名前を呼ぼうとして、”にゃー”としか鳴けないことを思い出す。
真澄の気を引くためには、声を出して”にゃー”と鳴くか、傍に寄って行って直接構って欲しいことをアピールするしかないだろう。
花村はしばし考える。
例えば、”にゃー”と鳴いたところで、きっと真澄のことだから、一時的にこちらに注意を払ってくれるだろうが、またすぐに放置するに違いない。
きっと真澄が望んでいるのはそういうことではない。
ならば自分から動くしか、真澄の気を逸らすことは出来ないのではないかと。
何だか、言葉を話せない犬猫が必死に主人にアピールしている気分になってくる。言葉が通じるということは、素晴しい事なのだとつくづく思ってしまう。
花村は立ち上がると、真澄が座っている机のところまで移動した。
狭い部屋なので、ほとんど歩かずにすぐに辿り着く。
四つ足で歩く必要はないと言われていたので、そこまで猫になりきる必要はないのだろう。
花村が動きだしたことには当然気付いているだろう真澄は、それでも手を止めない。
つまり、何とかして気を引けと言う事か。
花村は、机に向かっている真澄の背中にべったりと張り付いた。
真澄の作業の邪魔をして大いに自分に構えというアピールだ。
「にゃー」
ついでに、真澄の耳元で鳴き、ぺろりと舐める。
すると、真澄の体がピクリと反応し、左手が伸びてきて顔をわしゃわしゃと撫でられた。
「陽介……、何? 遊んで欲しいのか?」
声がとても楽しそうだ。どうやら本気で猫扱いする気満々だ。
撫でられ方がぞんざい過ぎて、花村は眉を顰めた。
けれど、花村は真澄の手が好きだ。
すらりと骨ばっていて、無駄な肉のついていない長い指。
マヨナカテレビに潜るようになって、真澄は大きな剣を振るう様になった為か、ごつごつと手に剣だこが出来て固くなっているが、そんな手触りも好きだった。
その手が、余すところなく自分の体に触れてくると、考えるだけで興奮してしまいそうだ。
そんな手が、花村の顔を撫でる。
手に頬を摺り寄せ、ぎゅうっと背後から抱きついた。
真澄の手が頭を撫でる。
「コラ、そんなにしがみ付いたら、俺が身動き取れないだろ」
べりっと真澄の首に回していた両手をあっさり剥がされた。
大きな剣を振り回しているだけあって、真澄は見た目よりも力が強い。
抗う暇なく剥がされてしまい、花村はちょっと残念だ。
くるりと椅子を花村の方へ向けて、真澄が手を差し出してきた。
「仕方ないな、ほら、おいで」
「にゃー」
普段なら、おいでといわれたところで、あまりに恥ずかしすぎて、真澄の膝の上に乗るなんてとてもできない。
しかし今は何故か耳をつけて尻尾をつけて、さらに首輪もつけられて、気分はすっかり飼い猫になってしまっている。
おいでなんて言われたら、嬉しくて向き合うように真澄の膝の上に座ってしまった。
互いの身長差がない分、膝の上に座れば当然自分のほうが高く真澄を見下ろすことになる。
にゃあと鳴いて、頬を真澄の顔に摺り寄せる。
さらりとしたきめの細かい肌で気持ちが良い。
真澄の長い指が花村の顎の下を撫でる。花村はくすぐったさに首をすくめるが、決して不快なわけではないので、逃げることはない。
「陽介は甘えっこだな」
真澄の手が、指が、首の筋を撫で、鎖骨に下りてくる。
大好きな真澄の手が触れることでぞわぞわくる感触に、花村は徐々に息が上がっていく。
指が頬に触れ、唇に触れてくる。
花村は舌を出して、ぺろりとその指を舐めた後、口の中に含んだ。
その指を甘噛みをしつつ、舌を絡めると、真澄がクスリと笑った。
「コラ、俺の指は食べ物じゃないぞ。ほら、口あけて」
名残惜しいが、そう言われると、大人しく口を開くしかない。
真澄の指が引き抜かれた。花村の舌がそれを追うが、すぐに距離が離れ届かなくなる。代わりに首輪に指をかけられて、真澄の顔が近づいてきた。
「普通猫にキスなんてしないか……、まあ、陽介だからいいか」
ブツブツと呟きつつも、真澄の唇が重なってくる。
花村は口を開けていたので、すぐに舌が割り込んできて、深くなる。
上顎を舐められ、舌を絡ませ、唾液を交換し合った。
今までに繰り返し何度も口付けを交わしてきたが、未だに真澄の技巧にとろとろに溶かされてしまう。
唇が離れ、飲み込みきれなかった唾液が、真澄の顎を伝った。
それを見つけて、花村がぺろりと舐める。
「ふふ、くすぐったいって。……あ、陽介、発情してる」
真澄の腰を挟むように膝に座っている為、キスで感じて反応しているのがモロバレだ。
しかし発情とかそんな言葉を使うなと、抗議の意味で首に噛み付いた。
真澄だって反応しているくせに。
「ここじゃやりづらいな、ソファに移動するよ」
「うにゃ?」
学習椅子に男二人座れば、流石に耐久限界がきそうで、先ほどからずっとぎしぎし言っていたのを気にしたのか、真澄が花村を抱き上げて立ち上がった。
どんなに腕力があるとは言え、軽々と花村を抱き上げるほどとは驚きだ。突然宙に浮いた体を支えるために、花村は真澄の首に慌ててしがみつく。
流石に花村では、真澄を軽々と予備動作もなしで抱え上げることはできない。
花村は真澄には敵わないと改めて思うのだ。
「ふ、ぁ……」
ソファに移動して、ズボンの上から撫で上げられる。
敏感な刺激に、”にゃー”以外の吐息があふれて、怒られるかと思い、チラリと真澄の顔を伺うと、ニコリと微笑まれてまたキスされた。
真澄の手が学ランの間を割って直接肌に触れてくる。
花村の体温が上がっている所為で、触れてくる手がひやりと冷たい。けれどわき腹を撫で上げられ、胸にその手が達する頃には熱が移って、冷たさを感じなくなる。真澄の手は遠慮なく花村の制服を脱がせていく。
Tシャツを脱がせるときに、耳が引っかかったが、取れないように抑えろと言われるままに、抑えて結局未だ猫のままだ。
というか、いつまで猫でいればいいのだろう。
互いにヤル気満々なのは確かで、だとすれば、真澄は飼い猫とエッチする気なのだろうか。いや、厳密には花村は人間だし、相棒で恋人でもあるので問題はないのだが。
ベルトのバックルが外され、下着の中に手が潜り込んでくると、花村の息がさらに上がる。
指に先端を撫でられ、花村の眉が寄った。
「ズボンまで脱いだら、尻尾がなくなるな……」
「ちょ、おま……、いつまで猫に拘んだよ」
不穏な言葉に、花村はものすごく嫌な予感がして思わずツッコミを入れた。
途端に真澄の眉間に皺が寄った。
「今日一日って言っただろう? ほら、コレ舐めろ」
「え? ……いや、これは無理があるんじゃね……?」
ズボンから外された尻尾のクリップの部分を舐めろというのだ。
間違いなく、入れられる。
確かに真澄のアレよりは小さいが、形がいびつでこんなものが入るととても痛そうだ。
「いいから、舐めろ。それとも言うことを聞かないならお仕置きが必要か?」
「ううう……」
お仕置き、などと言われると素直に口を開けざるを得ない。
舌で、ぺろりと尻尾のクリップ部分を舐める。
「ちゃんと濡らさないと痛いんじゃないの?」
お、お前はッ……、なんてことを!!
と思いつつも、尻尾のクリップの部分を口の中にすっぽり収める。
唾液で潤滑剤になるのかと言われると、それもどうかと思うが、ないよりはましだ。
「んッ、……フッ」
花村がクリップを舐めている間に、真澄はその尻尾で花村の肌に刺激を与え始めた。
柔らかいふわふわとした毛が、花村の敏感な乳首を刺激する。
指先で摘まれるより、刺激は弱いがくすぐったくて体を捩る。
その反応を見て、真澄はますますいたずら心を起こし、至る所を尻尾で刺激し始めた。
「あ……フッ、や、やだって」
銜えていた尻尾を吐き出して、花村は真澄の手を止めた。
真澄は自分でもその尻尾のクリップ部分を舐める。
「こっちに手をついて尻を上げろ」
すでにズボンも下着も脱がされているので、花村はほぼ全裸の状態だ。
辛うじて身につけているのは、靴下と真澄につけられた耳と首輪だけ。
何気に倒錯的な格好しているなぁと思いつつも、結局言われるままに、真澄をまたぐように体勢を変える。
真澄が楽しいならそれでいいかなんて思ってしまう辺り、やっぱり自分は真澄に何処までも甘いのだ。
「よし、いい子だ」
いい子だと言われながら尻を撫でられても、全然嬉しくなんかない。
真澄が自分の指を舐めて濡らして、容赦なく窄まりに押し付けてくる。
花村はすでに何度もそこへ真澄の指も受け入れている為、それだけでうっとりとしてしまうのだ。
あまり抵抗なく指を一本入れられ、もう一本増やされる。
何度か抜き差しされたり、開かれると、力が入らなくなってくたりと尻だけをあげた格好になった。
「変な形しているから、ここ、傷つけないようにしないとな」
一つ一つの皺を伸ばすように広げられていくと、触られても居ない前の先端からぽたぽたと汁が溢れ出す。
「気持ちいい?」
「うううッ」
気持ちよくなければ、こんな状態にはならない。
けれど分かっていて聞いている真澄に、首を振って否定する。
「素直に認めたほうがいいよ、陽介」
指を抜かれると同時に異物が中に入ってくる。
それは指とは違って、凹凸があるため、違和感がある。
ぐぐぐっと押し込められ、入り口の辺りにモサっとした毛が当たる。
「あああ……」
「ほら、これでちゃんと尻尾が生えたな。多分落ちないと思うけど、落とさないように気をつけて」
「ば……」
馬鹿野郎と言いたかったのに、尻尾をくいっと引かれる。
ダイレクトにその引っぱられた刺激が伝わってきて、花村はまたくたりと突っ伏した。
「”にゃー”だろ?」
「……にゃー」
とても楽しそうに、真澄が尻尾を触っていて、いつでも好きに弄べるのだ。
花村は真澄を睨んだつもりだったが、いまいち視線に力が入らない。
腕を引かれ、ソファに座ったときと同じ体勢に戻された。
「さて、続きを再開しよう」
今度は尻尾があるので、真澄の膝を跨がされたときに、変に腹に力が入る。多分、落ちることはないのだろうが、ダイレクトに尻尾の重さが伝わってくるのだ。
「にゃ……ふ」
先ほどからずっと反応しっぱなしで、刺激を与えてもらえなかった場所に真澄の手が伸びる。
上下に緩慢なく擦られて、花村の腰も揺れる。
「ハ、アっ……」
腰が揺れることで、尻尾が後追いで揺れ、差し込んである部分にまで刺激を与えてくるのだ。
前も後ろも刺激されて、徐々に花村の意識が飛び始める。
真澄に縋っていないと、今の体勢が保てないので、両手を首に回して強い快感に耐える。
しかし先端を爪で強く刺激されると、耐え切れず白濁した精を吐き出してしまった。
「んんんッ」
どくどくと全てを真澄の手に吐き出した。ハァハァと息が上がる。
真澄の頬に自分の頬を擦り付けて、ぺろりと舐める。
早く尻尾を抜いて、中にもっと強い刺激がほしくて。
「おにーちゃーん」
花村は三メートルほど飛び上がった。
多分、尻尾が本物だったら、普通のサイズの五倍は膨らんでいただろう。
階下から、真澄の従妹である堂島菜々子の声が聞こえたのだ。
ここへ来たときは無人だったことを考えると、遊びに行って家に帰ってきたようだ。
明らかに、真澄を探している。
真っ裸な上に、耳とか首輪とか尻尾とか倒錯的な格好をしてさらに真澄の膝の上に乗っているところなんて見られたら……。
最悪の想像をして、花村は真っ青になって慌てて真澄の膝の上から降りようとした。
しかし、それは真澄の腕ががっちりと花村の腰に回っていて動けない。
「ちょ……ま、真澄」
「菜々子ー、何?」
比較的大きな声を出して、部屋に居ることを伝える。
階下でそれに気付いた菜々子がまた声をかけてきた。
「塩、ある?」
「台所の右下の棚にあるよ」
「わかった、ありがと、ゆうちゃんちにまたいってくるねー!」
「気をつけてね」
「はーい」
菜々子は塩の場所が分からなかったらしい。
目的の事を聞き終えると、階段を上がってくる様子もなく、しばらくして玄関の扉がガラガラと閉まる音が聞こえた。
きっと菜々子が帰ってきたときも、玄関の音は聞こえたのだろうが、いろいろと夢中になっていて気がつかなかったようだ。
花村は真澄にぎゅうっとしがみ付いた状態でしばらく硬直していた。
ホントに菜々子が部屋の中まで入ってこなくて良かった。
こんな格好では言い訳のしようもない。
菜々子の気配がなくなって、しばらくしてようやく花村は息をついた。
身じろぎすると、真澄の腕が外れる。
膝から降りて立ち上がり、耳と、尻尾を抜きとって、床に叩きつけた。
「まーすーみー」
「うん、ごめん、下手に音を立てたら菜々子が上がってくるかと思って」
言われてみれば確かに慌てて服を着たりと物音を立てると、心配した菜々子が上がってくる可能性がある。だから花村が動けないように捕まえていたというのだ。
いろいろやる気がなくなって、首輪も外し、脱がされた服を拾い上げ袖を通す。
「で、何だったわけ?」
「何って何が?」
「コレ、だよ、コレ。何で俺が猫なんだよ」
猫耳を拾い上げて真澄に突きつける。
真澄はそれを視認して、耳を受け取ると立ち上がった。
「ああ、だって陽介、お前が望んだんだろう?」
「……は?」
あの、意味が分かりません。
と、言おうとして、花村は思い出した。
数日前のことだ。
相変わらず猫に会えば、何処から取り出すのかえさを必ず与え、可愛がっている真澄の隣で呟いたことがある。
「いいなぁ、俺も猫になりたい」
と。
無意識で口走った言葉だったし、まさかそれを真澄が真に受けるとは思わなかった。
花村は、真澄の手が好きなのだ。
無条件に撫でられるその猫になりたいと願ったのだ。
「お、おま……。だからってなぁ」
何だかいきなり力が抜けた。
へなへなとソファにへたりこむ。
花村の願望を真澄は叶えようとしたらしい。
しかし、何だか方向性を間違えている。ただ、花村は真澄を独り占めしたいだけなのだ。
真澄が頭を撫でてくる。
その手を捕まえて、すりっと頬を寄せた。
「よし、相棒、続きやろうぜ。あ、でも猫には戻らないぜ」
真澄の腕を引き寄せて、口付けから。
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ジュネスフェス記念 コピ本「猫缶」再録。
- 作品名
- 猫缶
- 登録日時
- 2010/02/01(月) 10:31
- 分類
- ペルソナ4::SS(煌椰)