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ペルソナシリーズをはじめとするメガテン関連?

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黒き太陽(同人サンプル)

黒村な話です。→花村犯人説







 一目で真澄鵠は、自分と同じ匂いのする人間だと分かった。
 だから、自分と同じ場所へ招きいれようと思った。
 それが最初のきっかけ。

「なァ、相棒、頼む、数学の課題見せてくれ!」

 この町にとって鵠の存在は異質であり異端であった。
 閉鎖的な田舎では、外部から訪れた者は何があっても受け入れられない。
 どんなに仲良くなったつもりでも、彼らの身内として受け入れられることは決してないのである。
 花村陽介自身も、鵠より半年早くこの地へとやってきたが、転校当初の迫害ぶりには辟易したものである。
 今はそれ程でもなくなってはいたが、陽介の場合は、他にも様々な要因があったので、余計に迫害が酷かったとも言える。

「課題? またか……?」
「頼むわ、ホント、俺、今日当たるんだよ」

 一つ前の席に座っている鵠に後ろから両手を合わせてお願いのポーズを作って見せる。
 何だかんだで、鵠は他の人の頼まれごとも良く聞いているので、総じて他人に対しての面倒見が良い性質なのだろう。特に陽介のお願い事は、比較的良く通る。
 一見とても面倒くさそうなポーズをとっているが、実は影で学生や町中の人たちから色んな依頼を受けてアイテムの調達なんかもやっていることを知っている。他人任せな連中の頼みごとなど、自分ならば絶対に引き受けないだろう。そもそもジュネスの店長の息子なんかに頼み事をしてくるような輩は余程の物好きか、興味本位か、奇特な人であり、そんな輩が、この平凡で平和を望む町にいるはずもない。
 そもそも、マヨナカテレビが原因でテレビの世界で殺人犯を追うことになったのも、こうやって陽介が頼み込んでのことだった。
 雨の日の真夜中に電源を入れていないテレビに映ると言う噂のマヨナカテレビ。マヨナカテレビに映った小西早紀。鵠だけが持っていたテレビの中へ入るという特殊な能力。ちょっとしたことで、テレビの中に落ちてしまい、鵠と千枝と三人で体験したテレビの中の世界。そこで出会ったクマという奇妙な物体。そして小西早紀が無残な遺体となって電柱にぶら下がることになったあの事件。テレビの中の世界と小西早紀の死を結び付けるのは容易く、鵠を巻き込んで再度テレビの中に入ったのは、小西早紀を殺した犯人に対する復讐心というよりも、これで鵠を巻き込むことが出来るというのが目的だったと言っていい。
 だって犯人は分かっている。誰が小西早紀を殺したのか、陽介は知っていた。ただ、それを大っぴらに言えないのだ。小西早紀をあの場所へ導き出した犯人も分からない。だから、ゲームを始める。
 人とは違う特異なペルソナ能力を所持することによって、鵠と陽介の関係は他の人と違う特別な関係になれたと思った。陽介は鵠を相棒と呼び、鵠もそれに当たり前のように返す。供に行動することが多くなり、クラスメイトに呆れられたように「転校生同士気が合ったの?」と言われているらしいという話も聞く。
 全てそこまでは計算どおりだった。
 しかし、本来ならば二人と謎の生物クマだけで解決に導こうと思っていたが、予想外にメンバーが増え、今や里中千枝や天城雪子、そして巽完二を加えた五人にまで膨れ上がっていた。
 それは陽介にとっては大いなる誤算だった。ただ、同じようなペルソナ能力を得たのに、無碍にこれ以上は危険だからお前らは関わるなとは言えない。お前らは邪魔だからついてくるなとは言えなかったのだ。そんなことを言ってしまえば、自分もお払い箱になってしまうかもしれないからだ。
 鵠のペルソナ能力は、陽介たちとは違うようで、陽介たちが一つのペルソナしか持たないのに、鵠にはいくつものペルソナを所持できるという能力がある。鵠が本気を出せば、恐らく一人で解決するのも可能であろう。何よりもクマが鵠にばかり懐いている。それも気に食わない。
 だから、他の仲間を外すことはできなかった。それにヒミツを共有する仲間がいることの楽しさを一度味わってしまった。これは、余りにも美味しい蜜だ。一度舐めると止められなくなってしまう。

 鵠はしばらく陽介の顔をジッと無表情で見つめてきた後、小さくため息をついた。
 陽介自身もそこそこ鼻筋が通っていて美形だとは言われているが(ただし口を開けばがっかり王子だとか、不名誉なニックネームを戴いている)、鵠の顔の造作の整い方は他に追随を許さない。思わず同性である陽介でも見惚れてしまうくらいだ。
 視界が絶対に悪いだろうと思われる目にかかるほどの長めの前髪が、鵠の表情の殆どを隠してしまっているのが勿体無い。
 不思議な色合いをした目を閉じれば頬に届きそうなくらい長い睫毛の下から、柔らかい視線が陽介を捕らえる。

「全く、仕方ないな。ただし……」
「やった、分かってる、今日お前が暇ならジュネス行こうぜ! やきそば、奢る!」
「ん」

 どちらかと言うと表情変化の少ない鵠の口端が軽く釣りあがって、鵠の表情に変化が訪れる。
 交渉成立だ。転校してきて早々の中間テストで八高一の才女と名高い雪子をあっさり抜き、学年トップに躍り出た鵠のまとめたノートを陽介は受け取った。
 それは綺麗な文字で分かりやすく的確にまとめられたノートで、鵠が授業中に如何に真面目に取り組んでいるかが良く分かる。
 そんなことはお構いなく、課題の部分を開き、「真澄様ー大明神様ー」と有難く口ずさみながら、陽介はノートを書き写していった。
 遠巻きに、クラスの数名の視線を感じる。
 彼らは決して陽介たちに声を掛けては来ない。ただ、こちらを見ているだけだ。それらの視線には羨望、憧憬、嫉妬、憎悪等、様々な感情が秘められている。負の感情が多いのは仕方がないだろう。何せ、転校生である鵠を陽介が一人独占してしまっているのだから。
 鵠と共に行動するようになって、以前のようなあからさまな陰口は叩かれなくなったものの、こういう視線を感じるのは未だに鬱陶しいと陽介は思っていた。
 しかし、表には出さない。鵠も多分気づいているが何も言わない。自分達はここでも異質な存在なのだから。
 
「あれ? そういえばお前今日はサッカーじゃねぇの?」
「今日は休み」

 短い休み時間十分の間にノートを写し終えて、陽介はそれを返しつつ、首を捻る。
 鵠のスケジュールは芸能人並に多忙だ。アルバイトや部活に精を出し、更に、友人達との付き合いも怠らない。更に、今は追っている事件はないが、忙しいときにはこれにマヨナカテレビ探索まで入ってくる。
 分刻みに鵠の中で組まれているスケジュールの合い間を縫って陽介は疎遠にならないようにがんばって誘いを掛けているのだが、三回に一回くらいは予定があると断られることも多々あった。
 それでも鵠が暇そうな時を見計らって声を掛けるから、三回に二回は誘いに成功できるのだと思っている。時折、千枝や雪子が全敗だと嘆いていたこともあったからだ。
 外部からの来訪者と言う同質の異質な存在ではあるが、陽介より鵠は、思った以上にこの町の中に溶け込んでいると言っていいだろう。
 尤も、陽介がその輪にどうしても溶け込めない理由がある。それは決して逃れられない家庭の事情であり、ここに居る限り解消されることはない為、回避する方法はない。
 商店街しかないような田舎町に大きな総合スーパー「ジュネス」が出来た。
 それは細々と商店街を経営していた町の人々にとっては激震だった。便利になる。けれどそうなると辛うじて潤っていた商店街から客が居なくなる上にジュネスは潤う。つまり、細々とやっていた商店街の関係者からジュネスは反感を買ったわけだ。
 陽介はそのジュネスの店長の息子である。ジュネス開業とともに、両親と一緒にこちらへ引っ越してきた。
 元から転校先が田舎で、うんざりしていたのだが、思っていた以上に商店街経営者たちや学校側の人たちからの風当たりが強くて、余計に嫌になった。
 時折、商店街の関係者とは何の関係もなく、陽介が転校してきた時に、隣の席になった千枝とは話をしたりしていたが、高校生にもなると付き合ってもいないのに、男女で仲良く一緒に遊べるような間柄でもなかった為、いつでも陽介は一人だった。

 鵠が転校してくるまで、クラス中の殆どの生徒から話しかけられることは無かったし、今でも必要最低限のこと以外で積極的にクラスメイトから話しかけられることはない。陽介からも話しかけることは無いし、今は鵠と常につるんでいるから、余り気にならないが、きっと鵠がいなければ今でも陽介は一人孤独だっただろう。
 
「そっか、じゃあ、今日の帰りはジュネスな!」
「忘れて先に帰るなよ」
「忘れるかっつの」
「え? 何々? 今日花村の奢りでジュネスのフードコート肉食べ放題!?」
「ちょっと待て、誰がンなこと言った?」

 鵠の隣の席に休憩時間中何処かへ行っていた千枝が口を挟んでくる。
 当然、鵠にはノートを借りたという恩があるが、千枝からは当然何の恩もない為、陽介は形の良い眉根を寄せて鼻を鳴らした。
 それを見た千枝はぺろりと舌を出して笑う。陽介の反応を楽しんでいるようだ。 

「あははー、嘘だよー。あたし、今日は雪子と沖奈まで行って来るんだ。ね、雪子」
「え? うん、今日は千枝と一緒に洋服を買いに行くの」

 千枝の前の席に座って次の授業の教科書を取り出していた雪子も振り返ってにこりと笑いかけてくる。
 偶然にも席の近いこの四人は、マヨナカテレビ特捜部のメンバーだ。
 陽介は、千枝とは鵠が転校してくる前から、DVDのやりとりや、トモダチとは行かないまでも顔見知り程度に話はしていたが、雪子には一度付き合わないかと告白をしてあっさりフラれた経験から、それまではほとんど話をすることは無かった。
 それが今や、千枝や雪子の隠し持っていた本音を鵠と共に見てしまったためか、他のクラスメイトや数少ない友人たちよりずっと距離が近い。
 鵠がいるから、鵠のおかげで、鵠の為に。
 すっかり最近は、陽介の中では鵠が世界の中心になっている。

「ったく、だったら先にそう言えよな、俺の財布が危うく空になるところだっただろーが」
「え? ホントに奢ってくれるつもりだったの?」
「馬鹿、んなワケあるかー」
「ぷ。……くくく……」

 陽介と千枝のやり取りを見て何かがツボった笑い上戸の雪子が笑いをこらえている。笑い始めると、しばらく止まらなくなる。そんな三人を見て静かに笑っているのが鵠。
 結構、いいメンバーだと思う。
 そうこうしているうちにチャイムが鳴り、程なく教師が入ってきて数学の授業が開始される。
 この町に来て、普通に仲間と会話をして普通に授業が受けられるなんて、そんな他愛も無い学園生活という小さな幸せが、自分に訪れるなんて陽介は今までずっと信じていなかった。


 あまりの茶番に反吐が出る。
 いつまで続けようか、こんなごっこ遊びを。





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「Porta Nigra」の煌椰のSS「黒き太陽」より一部抜粋

作品名
黒き太陽(同人サンプル)
登録日時
2009/12/22(火) 19:28
分類
ペルソナ4::SS(煌椰)
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